
平泳ぎ太郎
■主な経歴
- 200m平泳ぎインターハイ優勝
- 全国大会メダル10個
- 全国大会決勝進出18回
\元平泳ぎ日本一に無料相談できる/
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「うちの子にスイミング選手コースの声がかかった!」
お子さんがスイミングスクールで頑張っている姿を見守る中で、コーチから「選手コース」への勧誘を受けることは、親御さんにとって嬉しくもあり、同時に不安も感じる瞬間ではないでしょうか。
実は、スイミング選手コースに声がかかるお子さんは、スクール全体のわずか5〜10%程度と言われています。これは、お子さんの才能や努力がコーチの目に留まった証拠です。
しかし、多くの保護者の方が以下のような疑問や不安を抱えています。
- 選手コースに声がかかる基準って何?
- 本当にうちの子に向いているのか?
- 練習時間や費用はどれくらい増えるの?
- 学業との両立は可能?
- 断ったら子どもの今後に影響する?
本記事では、スイミング選手コースに声がかかる子どもの特徴から、選抜基準、メリット・デメリット、そして保護者が知っておくべき判断材料まで、15年以上の指導経験を持つスイミングコーチへの取材をもとに、徹底的に解説します。
この記事を読めば、お子さんにとって最適な選択ができるようになります。
スイミング選手コースとは?一般コースとの違いを徹底比較
スイミング選手コースは、競技大会での入賞を目指す本格的なトレーニングを行うコースです。一般コースが「泳げるようになること」を目標とするのに対し、選手コースは「速く泳ぐこと」「競技で勝つこと」が最大の目標となります。
一般コースと選手コースの主な違い
以下の表で、一般コースと選手コースの具体的な違いを比較してみましょう。
| 項目 | 一般コース | 選手コース |
|---|---|---|
| 目的 | 泳力向上・健康維持 | 競技大会での入賞・記録更新 |
| 練習頻度 | 週1〜2回 | 週4〜6回 |
| 1回の練習時間 | 45〜60分 | 90〜120分 |
| 練習内容 | 4泳法の習得・技術向上 | タイム短縮・レース戦略・持久力強化 |
| 月謝 | 6,000〜8,000円 | 12,000〜20,000円+ |
| 大会参加 | 任意または不参加 | 必須(月1〜2回) |
| コーチの指導 | グループ指導中心 | 個別指導・細かな技術修正 |
| 求められる姿勢 | 楽しく継続 | 自己管理・目標達成志向 |
選手コースの具体的な練習内容
選手コースでは、以下のような専門的なトレーニングが行われます。
技術練習
- ストローク解析とフォーム修正
- スタート・ターン技術の反復練習
- 水中ドリル(片手泳ぎ、キャッチアップなど)
持久力・スピード強化
- インターバルトレーニング(50m×10本など)
- ペース配分トレーニング
- タイムトライアル
陸上トレーニング
- 体幹トレーニング
- 柔軟性向上ストレッチ
- 筋力トレーニング(年齢に応じた内容)
このように、選手コースは単に「泳ぐ」だけでなく、アスリートとしての基礎を作る総合的なプログラムとなっています。
選手コースに声がかかる子どもの5つの特徴
スイミングコーチは、日々のレッスンの中で子どもたちの様々な側面を観察しています。選手コースへの勧誘は、単にタイムが速いだけでなく、総合的な適性を見極めた上で行われます。
特徴1:水への適応力が高い
選手コースに声がかかる子どもの最大の特徴は、水中での身体感覚が優れていることです。
具体的には以下のような点が挙げられます。
- 水の抵抗を最小限にする自然な姿勢が取れる
- 水の流れを感じ取り、効率的な推進力を生み出せる
- 息継ぎがスムーズで、呼吸リズムが安定している
- 浮力をうまく使い、余計な力を抜いて泳げる
これらは教えて身につくものもありますが、生まれ持った身体感覚によるところも大きいとされています。
特徴2:技術習得のスピードが速い
コーチが新しい技術を教えた際に、他の子どもより早く理解し、実践できることも重要な指標です。
- コーチの説明を1〜2回聞いただけで動きを再現できる
- 自分のフォームの問題点を指摘されると、すぐに修正できる
- ビデオなどで自分の泳ぎを見て、改善点を見つけられる
- 他の選手の良い部分を観察し、取り入れようとする
この「学習能力の高さ」は、今後の成長可能性を示す大きな要素となります。
特徴3:練習に対する集中力と継続力
選手として成長するには、地道な練習の積み重ねが不可欠です。そのため、以下のような姿勢を持つ子どもが選ばれやすい傾向にあります。
- 練習中に集中力を切らさず、最後まで全力で取り組める
- コーチの指示をしっかり聞き、素直に実践する
- 辛い練習でも諦めずにやり遂げる粘り強さがある
- 自主練習や家でのストレッチなど、自己管理ができる
実例:あるスイミングスクールでは、練習態度が真面目で、休まずに通い続けた子どもが、初めはタイムが平均的だったにも関わらず、1年後には地域大会で入賞するまでに成長しました。
特徴4:身体的な資質と成長の伸びしろ
競技スポーツである以上、身体的な要素も考慮されます。
- 手足が長い、または今後の成長で長くなる可能性がある
- 肩の柔軟性が高く、大きなストロークが可能
- 足首の柔軟性があり、効果的なキックができる
- 持久力があり、長時間の練習に耐えられる体力がある
ただし、現時点での体格よりも、今後の成長可能性を重視するコーチが多いのも事実です。小学校低学年では体格差が大きいため、成長曲線を予測しながら判断されます。
特徴5:競争心と向上心
選手として活動するには、「もっと速く泳ぎたい」「大会で勝ちたい」という内発的なモチベーションが重要です。
- タイムが縮まることに喜びを感じる
- 友達と競い合うことを楽しめる
- 目標を設定し、それに向かって努力できる
- 負けても「次は勝つ」と前向きに捉えられる
この「勝ちたい気持ち」は、長期的な選手活動を続ける上での原動力となります。
コーチはどこを見ている?選手コース選抜の具体的基準
スイミングコーチが選手コースへの勧誘を決める際、どのような基準で判断しているのでしょうか。現役コーチへの取材をもとに、具体的な選抜基準を明らかにします。
タイム基準:年齢別の目安
多くのスイミングスクールでは、年齢別のタイム基準を設けています。以下は一般的な目安です。
| 年齢 | 25m自由形 | 50m自由形 | 25m平泳ぎ |
|---|---|---|---|
| 6歳 | 25秒以内 | – | 30秒以内 |
| 7歳 | 22秒以内 | 55秒以内 | 27秒以内 |
| 8歳 | 20秒以内 | 50秒以内 | 25秒以内 |
| 9歳 | 18秒以内 | 45秒以内 | 23秒以内 |
| 10歳 | 17秒以内 | 40秒以内 | 22秒以内 |
※これはあくまで目安であり、スクールによって基準は異なります。
技術面での評価ポイント
タイムだけでなく、以下のような技術面も重視されます。
ストローク効率
- 1ストロークで進む距離が長い
- 水をしっかりキャッチできている
- 無駄な動きがなく、スムーズなフォーム
キック技術
- 推進力のある効果的なキック
- 足首の柔軟性を活かした動き
- 体幹が安定していてブレが少ない
呼吸技術
- リズミカルで安定した呼吸
- 呼吸時の姿勢崩れが少ない
- 息継ぎのタイミングが適切
練習態度と成長曲線
コーチが特に重視するのが、過去数ヶ月の成長率です。
- 3ヶ月前と比べてタイムがどれだけ伸びているか
- 技術的な課題をどれだけ克服できているか
- 練習への取り組み方が積極的になっているか
例えば、現在のタイムが基準に若干届いていなくても、成長曲線が急上昇している子どもは、選手コースへの適性が高いと判断されることがあります。
保護者のサポート体制
意外に思われるかもしれませんが、保護者のサポート体制も選抜の判断材料となることがあります。
選手コースでは以下のようなサポートが必要になるためです。
- 週4〜6回の送迎が可能か
- 土日の大会への同行が可能か
- 練習時間の増加に対する家庭の理解があるか
- 費用面での負担が可能か
コーチは、お子さんに才能があっても、家庭環境が整っていない場合は慎重に判断する傾向にあります。
スクール独自の選抜テスト
多くのスクールでは、年に1〜2回「選手コース選抜テスト」を実施しています。
テスト内容の例:
- 各種目のタイムトライアル(50m×4泳法)
- 持久力テスト(200m〜400m連続泳)
- 技術チェック(ビデオ撮影による分析)
- 面接(本人の意欲確認)
- 保護者面談(サポート体制の確認)
このテストに合格することで、正式に選手コースへの入会が認められます。
選手コースに入るメリット7選
選手コースへの入会は、お子さんの人生に大きな影響を与える可能性があります。ここでは、選手コースに入ることで得られる具体的なメリットを7つご紹介します。
メリット1:専門的な指導による飛躍的な技術向上
選手コースでは、一般コースとは比較にならないほど細かく専門的な指導を受けられます。
- コーチ1人あたりの担当人数が少なく、個別指導の時間が増える
- ビデオ分析などを使った科学的なフォーム改善
- 全国大会経験者や専門資格を持つコーチからの直接指導
- 最新のトレーニング理論に基づいた練習メニュー
実際に、選手コースに移行後、わずか半年で自己ベストを10秒以上更新する子どもは珍しくありません。
メリット2:大会経験を通じた精神的成長
定期的な大会参加は、お子さんのメンタル面の成長に大きく貢献します。
得られる経験:
- プレッシャーの中で力を発揮する経験
- 勝つ喜びと負ける悔しさの両方を味わう
- 目標設定と達成のプロセスを学ぶ
- 公の場でのマナーやスポーツマンシップの習得
これらは、水泳以外の場面でも活きる「生きる力」となります。
メリット3:同じ目標を持つ仲間との出会い
選手コース最大の魅力の一つが、切磋琢磨できる仲間との出会いです。
- 互いに刺激し合い、モチベーションを高め合える
- 大会での応援や励まし合いを通じて絆が深まる
- 年齢を超えた縦のつながりができる
- 生涯の友人ができる可能性がある
多くの元選手が「一番の財産は仲間との思い出」と語っています。
メリット4:自己管理能力の向上
選手コースでは、以下のような自己管理が求められます。
- 練習スケジュールの把握と時間管理
- 体調管理(睡眠・食事・体重管理)
- 学業との両立のための計画性
- 目標達成のための自主練習
これらを通じて、小学生のうちから自律性が育ちます。この能力は、将来の受験や就職活動でも大いに役立ちます。
メリット5:進学時の選択肢が広がる
水泳の実績は、進学時に大きなアドバンテージとなることがあります。
具体的なメリット:
- 中学・高校でのスポーツ推薦の可能性
- 大学でのスポーツ推薦枠の獲得
- 推薦入試での加点対象になることがある
- 部活動で即戦力として期待される
特に、中学受験では「水泳実績」を評価する学校も増えています。
メリット6:体力・健康面での基礎作り
選手コースでの本格的なトレーニングは、生涯にわたる健康の基盤を作ります。
- 心肺機能の向上による持久力アップ
- 全身をバランスよく使うことでの体幹強化
- 成長期における理想的な運動習慣の確立
- ケガをしにくい身体作り
水泳は生涯スポーツとしても続けられるため、子どもの頃の投資は大きなリターンとなります。
メリット7:達成感と自己肯定感の向上
選手コースでの活動は、お子さんの自己肯定感を大きく高めます。
- 自己ベスト更新の度に感じる達成感
- 大会入賞による自信の獲得
- 困難を乗り越えた経験による自己効力感
- 「自分にもできる」という成功体験の積み重ね
この自己肯定感は、人生のあらゆる場面でポジティブな影響を与えます。
選手コースのデメリットと注意点
選手コースには多くのメリットがある一方で、デメリットや注意すべき点も存在します。入会を決める前に、これらをしっかり理解しておくことが重要です。
デメリット1:時間的拘束の増加
選手コースに入ると、自由な時間が大幅に減少します。
具体的な時間配分:
- 練習:週4〜6回×2時間=週8〜12時間
- 移動時間:往復1時間×週5回=週5時間
- 大会:月1〜2回の土日終日
- 合計:週13〜17時間+大会時間
これにより、以下のような影響が出る可能性があります。
- 友達と遊ぶ時間が減る
- 他の習い事を続けるのが難しくなる
- 家族での外出や旅行の計画が立てにくくなる
- 学習塾との両立が困難になる場合がある
デメリット2:費用負担の増加
選手コースは、一般コースと比べて経済的負担が大きくなります。
月々の費用内訳(目安):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月謝 | 12,000〜20,000円 |
| 選手登録料(年間) | 5,000〜10,000円 |
| 大会参加費 | 3,000〜5,000円/回 |
| 遠征費(宿泊・交通費) | 10,000〜50,000円/回 |
| 水着・ゴーグル等備品 | 年間30,000〜50,000円 |
| スポーツ保険 | 年間2,000〜3,000円 |
年間総額:20万〜40万円程度
さらに、全国大会などに出場する場合は、さらに費用がかさむことになります。
デメリット3:学業との両立の難しさ
練習時間の増加により、学業への影響が出る可能性があります。
よくある課題:
- 宿題をする時間が限られる
- 疲労により集中力が低下する
- 定期テスト前でも練習を休めない
- 塾との両立が難しい
対策としては、以下が有効です。
- 学校の休み時間を有効活用する
- 移動時間に勉強する習慣をつける
- 効率的な学習方法を身につける
- 家族全員でスケジュール管理をサポートする
デメリット4:プレッシャーとストレス
競技である以上、心理的なプレッシャーは避けられません。
子どもが感じるストレス:
- タイムが伸びないことへの焦り
- 大会での緊張とプレッシャー
- 同じ選手コースの仲間との比較
- コーチや保護者の期待に応えなければというプレッシャー
特に、繊細な性格のお子さんの場合、このストレスが大きな負担となることがあります。
デメリット5:ケガのリスク
ハードな練習により、スポーツ障害のリスクが高まります。
水泳で多いケガ:
- 肩の障害(スイマーズショルダー)
- 腰痛
- 膝の痛み
- 腱鞘炎
予防のためには、以下が重要です。
- 適切なウォーミングアップとクールダウン
- 十分な休養と睡眠
- 栄養バランスの取れた食事
- 違和感を感じたら早めに相談する
デメリット6:燃え尽き症候群のリスク
幼少期からハードな練習を続けることで、バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクがあります。
燃え尽き症候群の兆候:
- 水泳への興味・意欲の低下
- 練習を嫌がるようになる
- 成績が伸びなくなる
- 他のことにも無気力になる
これを防ぐには、以下の点に注意が必要です。
- 子どもの意思を尊重し、無理強いしない
- 適度な休息期間を設ける
- 水泳以外の楽しみも持たせる
- 結果だけでなく、過程や努力を認める
デメリット7:やめたいと思った時の選択肢の少なさ
一度選手コースに入ると、途中でやめることへの心理的ハードルが高くなります。
- 「ここまで頑張ったのにもったいない」という思い
- 仲間を裏切るような罪悪感
- コーチへの申し訳なさ
- 進路への影響の心配
しかし、本人が本当にやめたいと思っているのに続けさせることは、逆効果になることもあります。定期的に本人の気持ちを確認することが大切です。
選手コースに入るべきか?判断のための5つのチェックポイント
選手コースへの勧誘を受けたとき、入会すべきかどうかを判断するための具体的なチェックポイントをご紹介します。
チェックポイント1:子ども本人の意思
最も重要なのは、お子さん本人の気持ちです。
確認すべき質問:
- 「選手コースに入りたいと思っている?」
- 「週に4〜5回練習があるけど、大丈夫?」
- 「友達と遊ぶ時間が減るけど、それでもやりたい?」
- 「大会に出て、もっと速く泳ぎたい?」
親の期待や周囲のプレッシャーではなく、子ども自身の内発的な動機があるかどうかを見極めましょう。
注意点:小学校低学年の場合、「よくわからないけどやってみる」という曖昧な返答もあります。その場合は、「まず3ヶ月やってみて、続けるか決めよう」という期限付きの挑戦も有効です。
チェックポイント2:家庭のサポート体制
選手コースでの活動は、家族全員のサポートが必要です。
確認すべき項目:
□ 週4〜6回の送迎が可能か?
□ 土日の大会に同行できるか?
□ 遠征時の宿泊費・交通費を負担できるか?
□ 家族の理解と協力が得られるか?
□ 兄弟姉妹への影響を考慮できるか?
特に、両親が共働きの場合や、他にも兄弟姉妹がいる場合は、現実的なスケジュール調整が可能かどうかを冷静に判断する必要があります。
チェックポイント3:経済的な余裕
選手コースには、相応の費用負担が発生します。
年間費用のシミュレーション:
- 月謝:15,000円×12ヶ月=180,000円
- 大会参加費:4,000円×12回=48,000円
- 遠征費:20,000円×4回=80,000円
- 備品代:40,000円
- 年間合計:約35万円
この金額を、家計に無理なく組み込めるかどうかを検討しましょう。
経済的負担を軽減する方法:
- スポーツ振興くじ(toto)の助成金制度を活用
- 自治体のスポーツ支援制度をチェック
- 保護者会でのカープール(乗り合い)で交通費削減
- 先輩からの水着のお下がりを活用
チェックポイント4:学業との両立可能性
現在の学習状況と照らし合わせて判断しましょう。
両立が可能なケース:
- 現在の学校の成績が安定している
- 宿題を計画的にこなせる習慣がある
- 集中力があり、短時間で効率的に勉強できる
- 通学時間が短く、学習時間を確保しやすい
両立が難しいかもしれないケース:
- 現在も宿題に時間がかかっている
- 学習塾に通っており、既に忙しい
- 中学受験を予定している
- 学校の成績が低下傾向にある
中学受験を予定している場合は、特に慎重な判断が必要です。多くの場合、小学5年生頃から選手コースと受験勉強の両立は極めて困難になります。
チェックポイント5:長期的なビジョン
選手コースに入ることで、お子さんの人生にどんな影響があるかを考えましょう。
考えるべき質問:
- 中学・高校でも水泳を続ける可能性があるか?
- 将来的にスポーツ推薦での進学も視野に入れるか?
- プロ選手やオリンピックを目指すレベルを目指すのか?
- それとも、小学生の間だけの経験として捉えるか?
目標レベルによって、取り組み方や投資すべきリソースも変わってきます。
選手コースを断る場合の対応方法
コーチから選手コースへの勧誘を受けたものの、様々な理由で断ることもあるでしょう。ここでは、角が立たない適切な断り方をご紹介します。
断ることは悪いことではない
まず理解しておきたいのは、選手コースへの勧誘を断ることは、決して悪いことではないということです。
- 各家庭には様々な事情がある
- 子どもの適性や意思を最もよく知っているのは保護者
- コーチもすべての勧誘が受け入れられるとは思っていない
罪悪感を持つ必要はありません。
断る際の適切な伝え方
コーチへの感謝を示しつつ、明確に断ることが重要です。
良い断り方の例:
「この度は、選手コースへのお声がけをいただき、ありがとうございます。親子で話し合った結果、現時点では一般コースで続けさせていただきたいと考えております。〇〇(理由)という事情があり、週に何度も通うことが難しい状況です。コーチのご期待に添えず申し訳ありませんが、今後とも一般コースでご指導いただけますと幸いです。」
伝える際のポイント:
- 勧誘への感謝を最初に伝える
- 断る理由を簡潔に説明する(詳細すぎる必要はない)
- 今後も引き続き通いたい意思を示す
- 対面またはメールで丁寧に伝える
断る理由の例
具体的にどのような理由を伝えればよいか、例をご紹介します。
時間的理由:
- 「他の習い事との兼ね合いで、週4回の練習時間の確保が難しいため」
- 「学習塾に通っており、両立が困難なため」
- 「家族の時間を大切にしたいという方針のため」
経済的理由:
- 「経済的な負担が大きく、現時点では難しいため」
- 「兄弟姉妹の習い事もあり、費用面で厳しいため」
子どもの意思:
- 「本人とよく話し合った結果、今は楽しく泳ぐことを優先したいという結論になったため」
- 「子どもがまだ決心できていないため」
家庭の事情:
- 「送迎の都合がつかないため」
- 「家族の介護があり、時間的な余裕がないため」
断った後の一般コースでの過ごし方
選手コースを断った後も、気持ちよく一般コースで続けるためのポイントです。
保護者がすべきこと:
- コーチに対して変わらず挨拶と感謝を伝える
- 子どもに「断ったことは悪いことではない」と伝える
- 引き続き練習に真面目に取り組むよう促す
子どもに伝えるべきこと:
「選手コースに行かなくても、あなたは十分頑張っているし、コーチもそれを認めてくれているよ。これからも自分のペースで楽しく泳ごうね。」
後から気が変わった場合
断った後に、やはり選手コースに入りたいと思った場合の対応方法です。
再度挑戦する方法:
- 次回の選手コース選考テストに挑戦する
- コーチに相談し、現在の基準を満たしているか確認する
- 一般コースでの練習態度をさらに向上させる
多くのスクールでは、年に1〜2回選考の機会があります。一度断ったからといって、二度とチャンスがないわけではありません。
選手コースでの成功のための親のサポート方法
お子さんが選手コースに入ることを決めた場合、保護者のサポートが成功の鍵を握ります。ここでは、効果的なサポート方法をご紹介します。
サポート1:過度な期待をかけない
選手コースに入ったからといって、必ず結果が出るわけではありません。
避けるべき言動:
- 「お金をかけているんだから結果を出しなさい」
- 「あの子はできているのに、なんであなたは…」
- 「選手コースなのに、それしかできないの?」
望ましい言動:
- 「今日も頑張ったね」
- 「前よりも〇〇が上手になったね」
- 「楽しかった?」
結果よりも過程や努力を認めることが、子どもの長期的な成長につながります。
サポート2:体調管理のサポート
選手コースでは、食事・睡眠・体調管理が特に重要です。
食事面でのサポート:
- 高タンパク・低脂肪の食事を心がける
- 練習前:消化の良い炭水化物(おにぎり、バナナなど)
- 練習後:タンパク質補給(鶏肉、魚、プロテインなど)
- 水分補給の徹底
睡眠面でのサポート:
- 小学生:9〜11時間の睡眠確保
- 中学生:8〜10時間の睡眠確保
- 就寝時間を一定に保つ
- 寝る前のスマホ・ゲームを控える
体調チェック:
- 毎朝の体温測定
- 食欲の有無の確認
- 疲労度の確認
- 違和感があればすぐにコーチに相談
サポート3:メンタル面でのサポート
競技スポーツでは、メンタル面のサポートが極めて重要です。
日常的にできること:
- 練習後は「今日はどうだった?」と話を聞く
- 悩みがあれば、否定せずに聞く
- 他の子と比較しない
- 小さな成長を一緒に喜ぶ
スランプ時のサポート:
- 「こういう時期は誰にでもある」と伝える
- 一緒に原因を考え、解決策を探す
- 休息を取ることも大切だと教える
- 水泳以外の楽しみを持たせる
大会前のサポート:
- 普段通りの生活リズムを保つ
- 「楽しんでおいで」と送り出す
- 結果に関わらず、参加したことを褒める
サポート4:コーチとのコミュニケーション
コーチとの良好な関係は、子どもの成長に不可欠です。
定期的なコミュニケーション:
- 練習の送迎時に様子を聞く
- 保護者会や面談に積極的に参加する
- 子どもの様子で気になることがあれば相談する
- コーチの指導方針を理解し、家庭でもサポートする
避けるべき行動:
- コーチの指導に過度に口を出す
- 他の保護者やコーチの悪口を言う
- 子どもの前でコーチを批判する
- 練習中にコーチに話しかけて邪魔をする
サポート5:学業との両立支援
選手コースと学業の両立は、計画的なサポートが必要です。
具体的な支援方法:
- 学習スケジュールを一緒に立てる
- 移動時間を学習時間として活用する工夫
- 定期テスト期間は練習量を調整する(コーチに相談)
- 効率的な学習方法を教える
両立のコツ:
- 優先順位をつける習慣をつける
- スキマ時間の有効活用
- 疲れている日は無理をさせない
- 学校の先生にも状況を伝えておく
サポート6:経済的な計画
選手コースの費用を計画的に管理することも重要なサポートです。
費用管理のポイント:
- 年間の費用を事前に把握する
- 遠征費用は別途積み立てておく
- スポーツ用品のセールを活用
- 先輩からのお下がりを積極的に活用
- 自治体の補助金制度を調べる
サポート7:子どもの自立を促す
過保護にならず、子どもの自立を促すことも大切です。
自立を促す関わり方:
- 練習道具の準備は自分でさせる
- スケジュール管理を徐々に任せる
- 目標設定は子ども自身に考えさせる
- 失敗から学ぶ機会を奪わない
選手コースでの経験が、水泳以外の人生でも活きるように、自律性を育てることを意識しましょう。
選手コース経験者の体験談とアドバイス
実際に選手コースを経験した元選手や保護者の生の声をご紹介します。
体験談1:選手コースで得た一生の財産(Aさん・元選手/30代)
「小学3年生から中学卒業まで選手コースに在籍していました。正直、全国大会に出場できるほどの実力はありませんでしたが、選手コースでの経験は今でも私の財産です。
特に大きかったのは、目標に向かって努力する習慣が身についたことです。社会人になった今も、仕事で困難にぶつかった時、『あの厳しい練習に比べたら』と思えることで乗り越えられています。
また、選手コース時代の仲間とは今でも交流があり、人生の大切な友人です。親には本当に感謝しています。」
体験談2:途中でやめた経験も無駄ではなかった(Bさん・保護者)
「娘が小学4年から選手コースに入りましたが、6年生の途中でやめました。中学受験を控え、本人が『勉強に集中したい』と決断したためです。
最初は『ここまで頑張ったのにもったいない』と思いましたが、娘は『やめたことを後悔していない。選手コースでの経験があったから、受験勉強も頑張れた』と言っています。
途中でやめることも、決して失敗ではないと実感しました。大切なのは、その時々で最善の選択をすることだと思います。」
体験談3:親の覚悟も必要だった(Cさん・保護者)
「息子が選手コースに入った時、『子どものサポートに徹する』と決めました。週5回の送迎、土日の大会同行、食事管理…正直、自分の時間はほとんどありませんでした。
でも、息子が県大会で入賞した時の笑顔を見た時、『やってよかった』と心から思えました。
選手コースは、子どもだけでなく、親も一緒に成長する場だと感じています。これから選手コースを検討される方には、親自身の覚悟も必要だとお伝えしたいです。」
体験談4:燃え尽きてしまった経験から(Dさん・元選手/20代)
「小学2年生から高校まで選手コースでしたが、高校2年で完全に燃え尽きてしまいました。今振り返ると、自分の意思ではなく、親の期待に応えようとしていた部分が大きかったと思います。
選手コースを検討されている方にお伝えしたいのは、必ず本人の意思を確認してほしいということです。親の夢を子どもに押し付けないでください。
ただ、水泳で学んだ『努力する力』は今も役立っています。選手コース自体が悪いのではなく、取り組み方や動機が重要だと思います。」
元コーチからのアドバイス(Eさん・元選手コースコーチ)
「20年以上、選手コースの指導をしてきました。成功する子どもに共通しているのは、以下の点です。
- 本人が心から楽しんでいる
- 保護者が適度な距離感でサポートしている
- 結果だけでなく過程を大切にしている
- 水泳以外にも興味を持っている
逆に、早期に辞めてしまう子どもは、親の期待が重すぎるケースが多いです。
選手コースは、才能がある子どもの可能性を伸ばす素晴らしい場ですが、子ども第一で考えることが何より大切だと思います。」
よくある質問(Q&A)
選手コースに関して、保護者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1:選手コースに声がかかるのは何歳頃が多いですか?
A:最も多いのは小学2年生〜4年生の時期です。
この年齢は、4泳法をマスターし、基礎的な泳力が身についてくる時期であり、同時にまだ成長の伸びしろが大きい時期でもあります。
ただし、スクールによっては年長や小学1年生から選手育成コースを設けているところもあれば、小学5年生以降でも実力次第で声がかかることもあります。
Q2:一度断っても、後から入ることはできますか?
A:はい、可能です。
多くのスクールでは、年に1〜2回の選手コース選考テストを実施しています。一度断ったとしても、その後のテストで基準を満たせば入会できます。
また、一般コースでの練習態度やタイムの伸びが顕著であれば、再度コーチから声がかかることもあります。
Q3:選手コースに入ると、必ず大会に出なければいけませんか?
A:基本的には必須です。
選手コースは競技大会での活躍を目指すコースのため、大会出場は必須となっているスクールがほとんどです。
月に1〜2回程度の地域大会から、実力に応じて県大会、全国大会への出場もあります。
ただし、体調不良や学校行事などの正当な理由があれば、個別に相談できる場合が多いです。
Q4:選手コースに入ると、他の習い事は続けられませんか?
A:難しい場合が多いです。
選手コースは週4〜6回の練習があるため、他の習い事との両立は物理的に困難なケースが多いです。
ただし、以下のような場合は両立している例もあります。
- 週1回のピアノなど、頻度が少ない習い事
- オンライン英会話など、時間の融通が利くもの
- 学習塾でも、個別指導で時間調整可能な場合
優先順位を明確にし、取捨選択が必要になります。
Q5:選手コースの月謝以外に、どのような費用がかかりますか?
A:以下のような費用が追加で発生します。
- 大会参加費:1回3,000〜5,000円
- 遠征費(交通費・宿泊費):10,000〜50,000円/回
- 競泳用水着:10,000〜15,000円(年2〜3回買い替え)
- ゴーグル・キャップなど:年間5,000〜10,000円
- 選手登録料:年間5,000〜10,000円
- スポーツ保険:年間2,000〜3,000円
- 合宿参加費:年1〜2回、30,000〜80,000円
年間で20〜40万円程度の追加費用を見込んでおく必要があります。
Q6:中学受験と選手コースの両立は可能ですか?
A:小学5年生以降は極めて困難です。
小学4年生までは両立している例もありますが、5年生以降は受験勉強の負担が増えるため、どちらかを選択せざるを得ないケースがほとんどです。
対応策:
- 小学4年生までに選手コースでの経験を積む
- 受験が近づいたら選手コースを一時休会する
- 受験校が決まったら、その学校の水泳部での活動を視野に入れる
Q7:体が小さい子どもでも選手コースで活躍できますか?
A:可能です。
確かに体格は有利な要素の一つですが、水泳では技術・持久力・精神力も非常に重要です。
実際、小柄でも効率的な泳ぎとしっかりした技術で好成績を収める選手は多くいます。
また、成長期の伸びは個人差が大きいため、現時点での体格だけで判断する必要はありません。
Q8:選手コースをやめたいと子どもが言い出したらどうすればいいですか?
A:まずは理由をしっかり聞きましょう。
一時的な感情の場合:
- 大会で負けた直後
- 練習がきつくて疲れている
→少し様子を見て、気持ちが落ち着くのを待つ
深刻な悩みの場合:
- いじめや人間関係の問題
- コーチとの相性の問題
- 本当に興味を失っている
→コーチや施設に相談し、解決策を探る。それでも解決しない場合は、やめることも選択肢に入れる
大切なのは、子どもの気持ちを尊重することです。無理に続けさせることは逆効果になることがあります。
Q9:選手コースに入ることで、進学に有利になりますか?
A:有利になる可能性があります。
中学受験:
- 一部の私立中学では、スポーツ実績を加点対象とする
- スポーツ推薦枠がある学校もある
高校受験:
- 公立・私立ともにスポーツ推薦枠がある
- 調査書に記載され、推薦入試で有利になることがある
大学受験:
- スポーツ推薦で入学できる可能性
- AO入試での実績としてアピールできる
ただし、学業成績も一定レベル以上必要な場合が多いため、水泳だけでなく学業も並行して頑張ることが重要です。
Q10:選手コースに入ると、将来プロ選手になれますか?
A:可能性はありますが、非常に狭き門です。
日本のトップスイマーのほとんどが幼少期から選手コースで育っていますが、選手コースに入った子どもの中で、プロとして活動できるのはごく一部です。
現実的な目標設定:
- 地域大会入賞
- 県大会出場
- 全国大会出場
- インターハイ出場
- 大学でのスポーツ推薦
夢を持つことは大切ですが、現実的な段階的目標を設定し、その過程での成長を大切にすることが重要です。
まとめ:お子さんにとって最良の選択を
ここまで、スイミング選手コースに声がかかる基準から、メリット・デメリット、判断のポイント、そして実際の体験談まで、詳しく解説してきました。
選手コース選択のポイント再確認
選手コースへの入会を決める際は、以下の5つのポイントを総合的に判断しましょう。
- 子ども本人の意思:最も重要な判断基準
- 家庭のサポート体制:送迎・時間・家族の協力
- 経済的な余裕:年間20〜40万円の費用負担
- 学業との両立可能性:現在の学習状況との兼ね合い
- 長期的なビジョン:どこまで続けるのか、何を目指すのか
最後に保護者の方へ
選手コースへの勧誘は、お子さんの才能が認められた証拠であり、誇るべきことです。しかし、入会することだけが正解ではありません。
大切なのは、お子さんにとって何が最良かを、家族全員でしっかり話し合って決めることです。
以下の問いかけを参考に、じっくり検討してください。
- 子どもは本当に楽しんでいるか?
- 家族全員が協力できる体制があるか?
- 長期的に続けられる環境があるか?
- 結果だけでなく、過程も大切にできるか?
もし選手コースに入ることを決めたなら、お子さんを信じ、適度な距離感でサポートしてあげてください。過度な期待やプレッシャーではなく、温かく見守る姿勢が、お子さんの成長を最も促します。
そして、もし断ることを決めたとしても、それは決して間違った選択ではありません。一般コースでも、水泳を楽しみながら続けることで、十分に得られるものはあります。
お子さんの人生は水泳だけではありません。水泳を通じて、努力する力、諦めない心、仲間を大切にする気持ちを育てることが、最も大切なのではないでしょうか。
この記事が、皆様の大切な決断の一助となれば幸いです。お子さんの輝かしい未来を心より応援しています。

