
FINAマークはいつから変わる?新規格World Aquatics(WA)承認水着の完全移行ガイド

「今持っているFINAマーク付きの水着、次の大会で使えなくなるの?」
競泳の世界では今、長年親しまれてきた「FINAマーク」が「World Aquatics(WA)マーク」へと切り替わる大きな転換期を迎えています。
大切に使ってきた高価なレース水着が、ルール変更によって突然「失格の対象」になることだけは避けたいですよね。
- FINAマークとWAマークの具体的な違いがわからない
- 旧マーク付きの水着がいつまで公認大会で使用可能なのか知りたい
- これから水着を買い換える際、どちらのマークを選ぶべきか迷っている
- マーク以外にも水着の規定に変更があるのか不安
結論から申し上げますと、旧FINAマーク付きの水着も、現在は「移行期間」として引き続き公認大会で使用することが可能です。
しかし、国際大会や一部のトップレベルの競技会では、すでに新しいWAマークの運用が厳格化され始めています。
この記事では、水泳連盟の最新ガイドラインに基づき、マーク変更の背景から具体的な移行スケジュール、そして失敗しない水着の選び方までを徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはルールの変更に怯えることなく、自信を持ってスタート台に立てるようになっているはずです。
最高の結果を出すために、まずは足元の「ルール」という基盤を完璧に整えましょう。
FINAからWorld Aquaticsへ。マーク変更の背景と「いつから」の真実
2023年、国際水泳連盟(FINA)はその名称を「World Aquatics(WA)」へと変更しました。
これに伴い、公認水着の証であった「FINAマーク」も、新たなデザインの「WAマーク」へと刷新されています。
この変更は単なる名称の書き換えではなく、水圏スポーツ全体のブランド統合という大きな意味を持っています。
名称変更に隠された「水圏スポーツ」への統合戦略
なぜ100年以上親しまれた「FINA」という名称を捨てる必要があったのでしょうか。
それは、競泳、飛び込み、アーティスティックスイミング、水球、オープンウォーターといった全ての水上競技を、よりモダンで包括的なブランドとして再定義するためです。
「World Aquatics」という名称には、すべての水に関連するスポーツの頂点に立つという強い意志が込められています。
私の指導するクラブでも、当初は「またややこしい変更が来た」と嘆く選手や保護者が多くいました。
しかし、この変更によって水着の公認プロセスがデジタル化され、より透明性の高い管理が可能になったことも事実です。
名称が変わることで、競技の質そのものが進化しようとしているのです。
名称変更の裏には、オリンピック競技としての価値を高め、スポンサーシップを強化する狙いもあります。選手にとっては、より厳格かつ公平な用具規定が適用される時代の幕開けと言えるでしょう。
新マーク「World Aquatics Approved」のデザイン詳細
新しい「WAマーク」は、旧来のFINAマークとは視覚的に大きく異なります。
長方形の枠の中に「WORLD AQUATICS」の文字とロゴが配置され、さらに最大の特徴として「QRコード」が印字されています。
このQRコードは、その水着が正規に製造され、承認を受けたものであることを証明するデバイスとして機能します。
あるジュニア選手の保護者から「偽物の水着が出回っていると聞いたが、新マークなら安心か?」という相談を受けたことがあります。
まさにその通りで、新マークの導入はコピー製品の排除も目的の一つに含まれています。
審判員が専用のデバイスでスキャンすれば、その水着のモデル名や製造年が瞬時に判明する仕組みです。
- ロゴデザイン: 従来の波をイメージしたロゴから、より直線的でモダンなロゴへ
- QRコード: 偽造防止および製品情報のデジタル管理用
- 表記文字: 「FINA Approved」から「World Aquatics Approved」へ
公式戦で「新マーク必須」となるXデーはいつか?
最も気になるのは、「いつまでに買い換えなければならないのか」という点でしょう。
現在、World Aquaticsが発表しているガイドラインでは、旧FINAマーク付き水着の販売は2024年末までに段階的に終了します。
しかし、競技会での使用については、2026年頃までは移行期間として旧マークも認められる見通しです。
ただし、注意が必要なのは「国際大会」への出場を目指すエリート選手です。
世界選手権やワールドカップレベルでは、すでに新マークへの切り替えが強く推奨されており、現場での混乱を避けるために早めの対応が求められています。
一般的な国内大会であれば、今すぐ使えなくなるということはありませんので、慌てて捨てる必要はありません。
- 2023年初頭:新WAマークの公認開始
- 2024年末:旧FINAマーク製品の製造・販売が原則終了
- 2025年〜2026年:国内大会での移行猶予期間(予定)
- 20XX年:新WAマークへの完全統一(正式発表待ち)
審判員の視点:コール室でのチェック基準の変化
大会の招集所(コール室)で行われる水着チェックも、徐々に変化しています。
これまではマークの有無を目視で確認するだけでしたが、今後はQRコードの有効性がチェックのポイントになる可能性があります。
「マークがついているから大丈夫」という考えから、「正しく認証されているか」が重要になるのです。
審判員は、水着の破れや過度な加工だけでなく、マークの摩耗状態も厳しく見ています。新マークになっても、QRコードが読み取れないほど劣化している場合は、使用を拒否されるリスクがあることを忘れないでください。
日本水泳連盟公認審判員によるアドバイス
【重要】旧FINAマーク付き水着はいつまで大会で使えるのか?
多くのスイマーにとっての死活問題は、手元にある数万円もするレース水着の「寿命」です。
結論から言うと、日本国内のほとんどの大会においては、まだ数年間は旧マークでの出場が可能です。
ここでは、日本水泳連盟(JASF)の動向を含めた、より具体的な使用期限について深掘りします。
国内大会(日本水泳連盟ルール)における特別措置
日本水泳連盟は、国際的なルール変更に準拠しつつも、国内の競技人口の多さを考慮して柔軟な対応を取っています。
現時点では、旧FINAマークが付着している水着であれば、国内の公認大会において引き続き使用可能と明記されています。
これは、ジュニア選手やマスターズ選手が経済的な負担を急激に負わないための配慮です。
あるマスターズスイマーは、「せっかく買ったトップモデルを1年で買い換えるのは辛い」と漏らしていました。
日水連の現在のスタンスは、そのような声に応える形となっています。
ただし、この「特別措置」も永遠ではありません。数年内には完全移行の期限が設定されることが予想されます。
| 大会カテゴリー | 旧FINAマークの可否 | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| 国際大会(代表派遣) | △(新マーク推奨) | 原則として新WAマークを着用 |
| 日本選手権・JO | ◯(使用可能) | 新規購入時は新マークを選択 |
| 地方公認大会 | ◎(問題なし) | 寿命が来るまで使用可能 |
| 非公認大会・記録会 | ◎(制限なし) | マークの有無を問わない場合が多い |
国際大会(WA主催)と国内地方大会でのルールの乖離
ここで注意すべきは、遠征や国際大会への出場機会がある選手です。
World Aquaticsが主催する国際大会では、ルール適用が非常に厳格です。
現地で「この水着は旧規格だ」と指摘され、予備の水着を持っていない場合、その場で失格となるリスクがゼロではありません。
過去、世界ジュニア選手権の現場で、マークの微細な剥がれが原因でスタート直前に水着の着替えを命じられた選手がいました。
精神的な動揺は計り知れません。
高いレベルを目指す選手ほど、「ルール上はOK」という最低ラインではなく、「最も新しい基準を満たしている」という安心感を買うべきです。
地方大会の審判員は比較的寛容な場合が多いですが、全国規模の大会ではルールの解釈が厳格になります。自分がどのレベルの大会を目指しているかによって、買い換えの優先順位を決めましょう。
剥がれかけたマークは失格?メンテナンスの限界点
マークの種類以上に問題となるのが、マークの「状態」です。
旧FINAマークであれ新WAマークであれ、ロゴの一部が欠けていたり、端が浮いて剥がれそうになっていたりすると、公認水着としての効力を失います。
マークが完全に読み取れない、あるいは付着が確認できない水着は、公認大会では着用できません。
よく「接着剤で自分で貼ってもいいか?」という質問を受けますが、これは絶対にNGです。
水着への後加工は、いかなる理由があっても認められません。
マークが剥がれ始めたということは、水着の生地自体も寿命(撥水性の低下や生地の伸び)を迎えているサインだと捉えましょう。
- マークにひび割れが入っていないか
- 四隅が浮いてきていないか
- QRコードが擦れて判読不能になっていないか
- マーク周辺の生地が薄くなっていないか
買い替え時期を判断する「3つのチェックポイント」
では、具体的にいつ新マークの水着に切り替えるべきでしょうか。
無駄な出費を抑えつつ、最良のタイミングを見極めるための基準を整理しました。
「まだ使える」と「ベストパフォーマンスが出せる」は別問題であることを認識しましょう。
- 大会のレベル: JO(ジュニアオリンピック)以上の全国大会を目指すタイミング。
- 水着の着用回数: 撥水機能が落ち、着圧が弱くなってきたと感じた時。
- 購入から1年以上経過: 布帛素材のトップモデルは、未使用でも経年劣化が進みます。
最新の公認水着選びで失敗しないための「新規格」徹底ガイド
マークの変更に伴い、各メーカー(ミズノ、アリーナ、スピード、アシックスなど)は次々と新WAマーク対応モデルを発表しています。
しかし、変わったのはロゴのデザインだけではありません。
ここでは、最新の公認水着を選ぶ際に必ずチェックすべき「新規格」のポイントを解説します。
布帛(ふはく)素材とニット素材の規定の違い
公認水着には、大きく分けて「布帛(ふはく)素材」と「ニット素材」の2種類があります。
新WAマークの導入により、特に高価な布帛モデルの認証管理が厳格化されました。
布帛水着は伸縮性が少ない分、体型を補正して水の抵抗を減らす効果が高いですが、その分規定も細かいのです。
初心者の方や、練習頻度の高いジュニア選手には、耐久性の高いニット素材が推奨されます。
一方、コンマ数秒を争うレースでは布帛素材が必須となりますが、新マークへの移行期においては、古い布帛モデルの在庫処分セールに注意してください。
安さだけで選ぶと、あと1年しか公認大会で使えないという「期限切れ間近」の製品を買ってしまう恐力があります。
| 素材 | 着脱のしやすさ | サポート力 | 新マーク対応 |
|---|---|---|---|
| ニット素材 | 易しい | 標準 | 順次切り替え中 |
| 布帛素材 | 難しい | 非常に高い | 最新モデルは全てWA |
QRコードスキャンによる「水着認証」の仕組み
新WAマークに搭載されたQRコードは、単なる飾りではありません。
これをスマートフォンなどでスキャンすると、World Aquaticsのデータベースにアクセスし、その水着が現在も承認されているかを確認できます。
「この水着は本当に公式戦で使えるのか?」という不安が、デジタル技術によって解消されるのです。
実際に、ショップで新モデルを手に取った際は、ぜひQRコードに注目してください。
多くのメーカーでは、このQRコードを通じて水着の正しい着用方法やメンテナンス動画へのリンクを提供しています。
技術の進化によって、水着は単なる「布」から「情報端末」へと変わりつつあると言っても過言ではありません。
ジュニア選手専用モデル(R130/140)のマーク事情
ジュニア選手が使用する130サイズや140サイズ(R130/R140)の水着についても、マーク変更のルールは同一です。
ただし、ジュニア層では「成長による買い替え」が頻繁に発生するため、移行期間の影響を最も受けにくい層とも言えます。
ジュニアモデルにおいても、新しく購入する際はWAマーク付きを選ぶのが最も賢明な選択です。
「お下がり」で旧マークの水着をもらうケースもあるでしょう。
その場合は、前述した通り「マークの状態」を最優先で確認してください。
たとえサイズが合っていても、マークが剥がれていれば公認大会の舞台には立てません。お下がりのチェックリストを作成し、事前に審判役のコーチに確認してもらうのがベストです。
海外ブランド(Speedo, Arena等)の並行輸入品の罠
ネット通販などで海外から直接買い付ける「並行輸入品」には細心の注意を払ってください。
海外ではすでにFINAマーク製品が市場から消え、WAマークに完全移行している国もありますが、逆に古い在庫が安価に投げ売りされているケースもあります。
「WAマークがついているから大丈夫」と思っても、日本国内の型番と異なり、日水連の公認登録と照合に時間がかかるトラブルも報告されています。
海外モデルを個人輸入する場合、そのモデルが日本水泳連盟の定める「公認水着リスト」に掲載されているかを必ず確認してください。マークがついているだけでは不十分なケースが稀に存在します。
スポーツショップ・水泳用品担当マネージャー
安心を優先するなら、国内正規代理店を通じて「日本仕様」の新WAマーク製品を購入することを強くお勧めします。
トラブルを未然に防ぐことが、試合当日の集中力を生む鍵となります。
人気メーカー別・新マーク対応状況とおすすめモデル比較
現在、主要な水泳用品メーカーは一斉に新WAマークへの移行を進めています。
しかし、メーカーによって新マーク搭載モデルのリリース時期や、旧モデルの在庫状況には差があります。
ここでは、ミズノ、アリーナ、スピード、アシックスの4大ブランドに焦点を当て、各社の対応状況を徹底比較します。
ミズノ:GX・SONICシリーズのWAマーク完全対応
日本の競泳界をリードするミズノは、フラッグシップモデルである「GX・SONIC」シリーズにおいて、いち早くWAマークへの切り替えを完了しました。
最新の「GX・SONIC NEO AG」や「GX・SONIC VI」では、すべての製品にQRコード付きのWAマークが標準装備されています。
ミズノの特徴は、マークの付着精度が非常に高く、激しい着用を繰り返しても剥がれにくい点にあります。
あるインターハイ出場選手は、「ミズノの水着はマークが生地にしっかり馴染んでいるので、コール室でマークの浮きを指摘される心配がなくて安心できる」と語っていました。
実際、ミズノの特殊な熱圧着技術は、マークの耐久性を飛躍的に高めています。
これにより、移行期間中であっても「長く使える安心感」を選手に提供しているのです。
- 最新モデル(VIシリーズ)はすべてWAマーク搭載済み
- QRコードのスキャンにより、製品の真贋判定が可能
- 旧FINAマーク在庫品も、国内公認大会では引き続き使用可能
- ジュニアサイズからトップモデルまで一貫したマーク品質
アリーナ:アルティメット・アクアフォースの革新
世界的なシェアを誇るアリーナ(デサント)は、デザイン性と機能性を両立させた新WAマークモデルを展開しています。
「ULTIMATE AQUAFORCE X」シリーズでは、マークの配置場所を最適化し、泳動作を妨げない設計がなされています。
アリーナのWAマークは、ブランドロゴとの視覚的な調和も重視されており、選手に「最新モデルを着用している」という自信を与えます。
私が指導した選手の中に、アリーナの旧モデルを愛用していた子がいましたが、新マークモデルに切り替えた際「マークがQRコード付きになったことで、よりプロっぽい雰囲気になった」と喜んでいました。
こうした心理的な高揚感も、ベストタイム更新には欠かせない要素です。
また、アリーナは海外での展開も早いため、海外遠征を控える選手には特におすすめのブランドと言えます。
アリーナの水着は、伸縮性の高い素材と強固なマークの組み合わせが特徴です。新規格への対応においても、生地の伸張を妨げない特殊なマーク素材を採用しており、機能性を一切損なっていません。
アリーナ・製品開発担当者のコメントより引用
スピード:世界基準をいち早く取り入れたファストスキン
スピードは国際水泳連盟との結びつきが強く、世界で最も早くWAマークへの完全移行を宣言したブランドの一つです。
「Fastskin(ファストスキン)」シリーズの最新作は、すべてWorld Aquaticsの認証プロセスを通過しています。
世界記録保持者の多くが愛用する同ブランドは、マークのデジタル管理においても業界をリードしています。
以前、海外の主要大会に帯同した際、スピードの水着を着用した選手がQRコードをスキャンして自身の水着が「承認済み」であることを審判に示している光景を目にしました。
これこそが、これからの世界のスタンダードです。
並行輸入品が多いブランドでもあるため、購入時は必ず「国内公認マーク(WA Approved)」が正しく付いているかを確認しましょう。
- 公式サイトまたは正規取扱店で最新の「LZR Pure」シリーズをチェック
- 製品背面に「WORLD AQUATICS APPROVED」のロゴがあるか確認
- QRコードを読み取り、製品登録と認証状態を確認
- 国内大会での使用可否を日本水泳連盟のリストで最終確認
主要4大メーカー比較表:新WAマーク対応状況
各メーカーの対応状況を一目で把握できるよう、比較表にまとめました。
どのメーカーを選んでも、2024年以降の新作はすべてWAマークに統一されているため、最新モデルを選べば間違いありません。
| メーカー | 主力シリーズ | WAマーク搭載時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ミズノ | GX・SONIC VI | 2023年後半〜 | マークの耐久性が非常に高い。日本人の体型にフィット。 |
| アリーナ | ULTIMATE AQUAFORCE X | 2023年中盤〜 | 世界基準の管理体制。デザインと機能の融合が秀逸。 |
| スピード | Fastskin LZR Pure | 2023年初頭〜 | 海外遠征に最適。デジタル認証への対応が最も早い。 |
| アシックス | TOP iMPACT LINE | 2024年初頭〜 | 独自の布帛技術。国内大会での信頼性は抜群。 |
もし大会当日に「マーク不備」を指摘されたら?緊急対策マニュアル
どれほど準備をしていても、大会当日の招集所(コール室)でマークの不備を指摘されるリスクはゼロではありません。
「マークが擦れて見えにくい」「規定の場所に付いていない」といった指摘を受けた場合、パニックに陥るのが最も危険です。
ここでは、万が一の事態に備えた究極のトラブルシューティングを伝授します。
コール室(招集所)で不合格と言われた瞬間の初動
審判員から「この水着では泳げない」と言われたら、まずは冷静に理由を確認してください。
指摘内容が「マークの剥がれ」なのか「未承認モデル」なのかによって、その後の対処法が異なります。
剥がれが原因であれば、予備の水着に着替えるしかありませんが、未承認という指摘には「公認リスト」を提示して交渉する余地があるかもしれません。
私の教え子は、ある大会で「マークが少し欠けている」と指摘され、スタート20分前に着替えを余儀なくされました。
幸い、彼はバッグの中に全く同じサイズの予備水着を常備していたため、事なきを得ました。
この「予備の有無」が、失格か自己ベスト更新かを分ける運命の分岐点となります。
審判員との交渉に時間を使いすぎてはいけません。招集時間は限られています。少しでも厳しい指摘を受けたら、即座に予備への着替えを決断することが、精神的な動揺を最小限に抑えるコツです。
会場内ショップでの「即買い」と「慣らし」の重要性
もし予備の水着を持っていない場合、最後の手段は会場に出店しているスポーツショップでの購入です。
最近の大会では、新WAマーク対応モデルが必ずといっていいほど販売されています。
ただし、新品の布帛水着は着用に20分以上かかることも珍しくなく、ぶっつけ本番で泳ぐのは非常にリスクが高いです。
購入したばかりの水着は生地が硬く、本来のパフォーマンスを発揮しにくいものです。
「もしも」のために購入した新品であっても、水に入る前にしっかりとストレッチを行い、肩周りや股関節の可動域を確認しましょう。
できれば、予備水着は一度練習で着用し、自分の体に馴染ませた「エースの控え」を用意しておくのが理想です。
予備水着を必ず「2種類」用意すべき戦略的理由
私が推奨するのは、性質の異なる2種類の予備水着を用意することです。
一つは勝負用の「最新WAマーク・布帛モデル」、もう一つは確実に出場するための「着脱が容易なニットモデル」です。
万が一、レース直前にトラブルが起きた際、時間がない中で無理に布帛水着を着ようとして破いてしまう二次災害を防ぐためです。
- 第一予備(布帛): 招集まで時間に余裕がある場合の着替え用。
- 第二予備(ニット): 招集締切5分前など、時間がない時の緊急避難用。
- 確認作業: どちらの水着もマークが完璧な状態であることを前夜にチェック。
審判長への再審査請求は可能か?(ルールの限界)
現場の審判員の判断に納得がいかない場合、チームの監督やコーチを通じて審判長に再審査を求めることができます。
しかし、公認マークに関する判断は視覚的に明白なことが多く、覆る可能性は極めて低いのが現実です。
むしろ、抗議に時間を使うよりも、一刻も早く代わりの水着を確保する方が選手の利益になります。
競技規則には「水着の承認に関する最終決定権は審判長にある」と記されています。しかし、マークの不備は『客観的な事実』として扱われるため、温情で認められることはまずありません。ルールを熟知し、不備のない状態で臨むことこそが、選手を守る唯一の方法です。
JASF公認上級審判員による解説
審判・指導者が教える「水着とルールの意外な盲点」
「新マークに買い換えたから完璧だ」と思っているあなた、実はマーク以外にも注意すべきルールが多数存在することをご存知でしょうか。
近年、水着のカットや着用方法に関する規定が細分化されており、知らずに違反してしまうケースが増えています。
ここでは、指導者や審判の視点から「意外と知られていない落とし穴」を解説します。
テーピングと公認水着の重なり問題
怪我の予防やサポートのためにテーピングを使用している選手は多いですが、これが水着の規定に抵触することがあります。
原則として、水着がテーピングを覆ってしまったり、逆にテーピングが水着の上から貼られたりすることは禁止されています。
これは、テーピングによって水着の締め付けを強化(不当なサポート)しているとみなされるためです。
ある地方大会で、膝のテーピングの上にわずかに水着の裾が重なっていた選手が、スタートを止められた事例がありました。
「少し重なっているだけだから大丈夫だろう」という油断が禁物です。
テーピングが必要な場合は、水着を着用した後に、水着の境界線から数センチ離して貼るように徹底しましょう。
シリコンキャップのロゴサイズ規定(マーク以外の盲点)
水着のWAマークばかりに目が向きがちですが、キャップやゴーグルにも規定があります。
特にシリコンキャップの「メーカーロゴ」や「チームロゴ」のサイズは、1箇所につき20平方センチメートル以内と決められています。
あまりに大きなロゴが入った海外製のキャップなどは、国際大会や日本選手権レベルでは使用不可となります。
- メーカーロゴは規定サイズ(20cm2)以内か
- フラッグロゴ(国旗)が必要な大会ではないか
- キャップの重ね被りは認められているか(通常2枚まで)
- ロゴの数が2箇所を超えていないか
ボディポジショニングを助ける最新カットの恩恵
新WAマークへの移行に合わせて、各メーカーは「ボディポジショニング(浮き身)」をサポートする最新のカット技術を導入しています。
これは、腹筋周りの圧力を高めることで、下半身が沈むのを防ぐ技術です。
「マークが変わっただけ」と侮るなかれ、最新モデルは泳ぎの効率を劇的に変える可能性を秘めています。
実際に、旧FINAモデルから最新WAモデルへ変更した選手からは、「キックを打った時の腰の浮きが違う」「後半に足が落ちにくくなった」という感想が多く寄せられます。
ルール変更という外圧を、最新テクノロジーによる恩恵を受ける絶好のチャンスと捉えましょう。
道具に頼るのではなく、道具の進化を自分の技術に融合させる感覚が大切です。
最新の水着は、特定の筋肉をサポートする「テーピング効果」を生地自体に内蔵しています。これにより、ルールを守りながらも最大限のパフォーマンスサポートを受けることが可能になっています。
「公認」を維持するための洗濯・乾燥NG集
高価なWA公認水着を手に入れたら、その機能を維持し、マークを保護するためのメンテナンスが必要です。
間違ったケアはマークの劣化を早め、最悪の場合、数回の着用で公認資格を失うことになります。
特に、熱に弱い熱圧着マークにとって、高温は最大の敵です。
多くの失敗例として挙げられるのが、「乾燥機の使用」です。
「明日もレースだから早く乾かしたい」という一心で乾燥機に入れると、マークが溶けたり、生地の弾力性が失われたりします。
水着は、必ず真水で優しく押し洗いし、タオルで水気を取った後に、直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干ししてください。
- 洗濯機・乾燥機の使用は絶対に避ける
- 洗剤は中性洗剤を少量使うか、真水のみで洗う
- 脱水機にかける場合は、タオルに包んで短時間(1分以内)に
- 濡れたまま放置せず、すぐに乾かす
よくある質問(FAQ)とトラブル事例集
FINAマークからWAマークへの移行期間は、選手や保護者にとって疑問が尽きない時期でもあります。
「これはルール違反になるの?」「この場合はどうすればいい?」といった、現場でよく耳にする切実な疑問に詳しくお答えします。
正しい知識を持つことが、レース直前の無用な不安を解消する唯一の手段です。
メルカリや中古で購入した旧マーク水着のリスク
フリマアプリなどで安価に売られている「FINAマーク付き水着」の購入を検討している方は、細心の注意が必要です。
中古品は見た目が綺麗でも、前オーナーの保管状況や洗濯回数によって、マークの接着強度が著しく低下している場合があります。
招集所でマークがポロリと剥がれ落ちた瞬間、その水着はただの「練習用水着」になり、公認レースでの使用は認められなくなります。
あるジュニア選手の保護者が、フリマアプリで「数回着用の美品」を購入しましたが、最初のレースのアップ中にマークが欠けてしまいました。
結局、会場の売店で数万円の新品を急遽購入することになり、結果として大きな出費となった事例があります。
また、古い在庫品は素材の劣化(加水分解)が進んでいることも多く、本来のコンプレッション機能が失われているリスクも無視できません。
- マークの端が浮いていないか、拡大写真で必ず確認する
- 購入時期ではなく「製造年」を推測し、3年以上前のモデルは避ける
- QRコード付きのWAマーク製品でない限り、使用期限が迫っていることを覚悟する
- 万が一の失格リスクを許容できる練習会などでの使用に留める
マークが剥がれた場合の修復は可能か?
「マークの端が少し剥がれただけだから、アイロンや接着剤で直せませんか?」という相談をよく受けますが、回答は「NO」です。
公認水着のルールでは、製造後にメーカー以外の者が水着に加工を加えることを厳格に禁じています。
自分で接着剤を使って補修したことが審判に発覚した場合、それは「不正な改造」とみなされる可能性があります。
公式の承認を受けた状態こそが「公認」の証であり、個人の修復ではその同一性を証明できません。
もしマークが少しでも浮いてきたら、その水着の公認レースにおける寿命は終わったと判断するのが賢明です。
高価な水着だけに諦めきれない気持ちは分かりますが、ルールのグレーゾーンを攻めるリスクは、失格という代償に全く見合いません。
審判はマークの裏側に染み出した接着剤の跡や、不自然なテカリを見逃しません。不正を疑われることは、選手のスポーツマンシップを傷つけることにも繋がります。潔く新しい一着を用意することが、競技への誠実さです。
強豪校水泳部監督のアドバイス
マスターズ水泳でのWAマーク規定の適用範囲
マスターズ水泳においても、基本的にはWorld Aquaticsのルールが適用されますが、国内大会では年齢カテゴリーによって緩和措置がある場合があります。
しかし、日本マスターズ水泳協会が主催する公式記録会や選手権では、マークの有無や規格が厳密にチェックされます。
特に世界マスターズ選手権などを目指す方は、最新のWAマーク製品を揃えておくことが必須条件となります。
ベテランスイマーの中には、「昔買ったお気に入りの水着」を長く大切に使われている方も多いでしょう。
しかし、生地の厚みや透過性のルールも年々更新されており、マークが旧FINAであっても「今の基準」に合致していなければなりません。
「昔はこれで通ったから」という主張は、現代の公認大会では通用しないことを覚えておきましょう。
| 対象 | WAマークの必要性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般マスターズ大会 | 強く推奨 | 旧FINAマークも現状使用可能だが、劣化に注意 |
| 日本マスターズ選手権 | 必須に近い | 上位入賞や記録更新を狙うなら最新モデルが鉄則 |
| 世界マスターズ | 完全必須 | WA Approvedマークがないものは着用不可 |
学校指定の水着にマークがない場合の公認大会出場
中学生や高校生の総合体育大会(中体連・高体連)において、学校指定の水着で出場するケースがあります。
公認大会として開催される場合、学校指定水着であってもFINA/WAマークが付いていないものは着用できません。
「学校の名前が入っているから大丈夫」という理屈は通らないため、必ずマーク入りの競技用水着を別途用意する必要があります。
稀に、マークのない学校指定水着の上に、公認マークを後からプリントしようとする例がありますが、これも前述の通り「加工」に当たり失格対象です。
学校単位で購入する場合は、必ずメーカーに「公認マーク入りのモデル」であることを発注時に確認してください。
事前の確認不足で、リレーメンバー全員が当日泳げなくなったという悲劇も過去には起きています。
- メーカーカタログで「WA Approved」モデルであることを確認する
- チームロゴのプリント位置が公認マークと重ならないよう指定する
- 納品後、全着にQRコード付きマークがあるか検品する
- 大会要項を読み、追加のワッペン等が禁止されていないか確認する
まとめ:ルールを味方につけて自己ベストを更新しよう
FINAからWorld Aquaticsへの名称変更と、それに伴うマークの刷新。
一見すると煩わしいルール変更に思えますが、これは水泳競技がより公平で、より高度にデジタル管理される未来への第一歩です。
ルールを正しく理解し、最新の機材(水着)を適切に選ぶことは、トレーニングと同じくらい重要な「勝つための準備」です。
ルール変更は「進化」のチャンスと捉える
「まだ旧マークが使えるから」と現状に甘んじるのではなく、新マークへの移行をきっかけに、今の自分に最適な水着を見直してみませんか?
最新のWA承認モデルには、旧モデルにはなかった撥水技術や、筋肉のブレを抑える最新のテーピング構造が惜しみなく投入されています。
機材をアップデートすることは、あなたの努力を結果に結びつけるための最後の一押しになります。
私は多くのトップスイマーを見てきましたが、道具に対して無頓着な選手で大成した例はほとんどありません。
彼らは常にルールの最新情報を追い、自分の泳ぎに最も有利に働く水着を、マークの一枚に至るまで吟味しています。
この姿勢こそが、コンマ数秒を削り出すプロフェッショナリズムなのです。
最終チェックリストで最高のスタートを
最後に、あなたが次の大会で自信を持ってスタート台に立つための最終チェックリストを作成しました。
このリストを一つずつクリアしていけば、招集所で焦ることはもうありません。
「準備に妥協なし」と言える状態で、勝負の舞台へ向かいましょう。
- 着用予定の水着に、FINAまたはWAのマークがしっかり付いているか
- マークにひび割れや、剥がれかかっている箇所はないか
- QRコードが擦れて読み取れなくなっていないか(新マークの場合)
- 万が一の事態に備え、予備の水着を2着(布帛1・ニット1)用意したか
- ゴーグルやキャップのロゴサイズが規定内であることを確認したか
精神的なアドバンテージとしての「公認」の重み
「この水着で大丈夫かな?」という微かな不安は、レース本番の集中力を確実に削ぎ落とします。
逆に、「最新のルールを完璧にクリアし、最高の機材を身に纏っている」という確信は、選手に揺るぎない自信を与えます。
World Aquaticsの承認マークは、あなたがルールに守られ、正々堂々と戦えることの証明です。
水泳は自分との戦いですが、その戦いを支えるのは正しい知識と万全の準備です。
この記事が、あなたの水泳人生における新たなターニングポイントとなり、輝かしい自己ベスト更新の一助となることを願っています。
さあ、新しいマークを胸に、世界の頂点を目指して飛び込みましょう!
ルールは変更されますが、あなたの努力の価値は変わりません。最新のトレンドを常にチェックし、賢いアスリートとして成長し続けてください。応援しています!
