
背泳ぎがグングン上達する練習メニュー決定版!沈む悩みを解消しタイムを縮める極意

背泳ぎを練習しているけれど、どうしても腰が沈んでしまったり、鼻に水が入って苦しい思いをしたりしていませんか?
「自分には才能がないのかも」と諦めるのはまだ早すぎます。実は、背泳ぎは4泳法の中で最も「理論」と「姿勢」が結果に直結する種目なのです。
がむしゃらに泳ぐのではなく、適切な順序でドリルをこなせば、誰でも水面を滑るような快感を味わうことができます。
- 泳いでいるうちに足が沈んでしまう原因と対策
- 鼻に水が入る恐怖を克服する呼吸のリズム
- 無駄な力を使わずにスピードを出すための練習メニュー
- 100m、200mを泳ぎ切るためのスタミナ強化法
私自身、かつては背泳ぎが一番の苦手種目でしたが、姿勢の作り方を根本から見直すことで、1ヶ月で自己ベストを5秒更新した経験があります。
この記事では、その実体験と最新のスポーツ科学を融合させた、最短で上達するための練習メニューを徹底解説します。
最後まで読めば、あなたの背泳ぎは見違えるほど美しく、力強いものに変わるはずです。
まずは「浮かぶ力」を「進む力」に変える土台作りから始めていきましょう。
背泳ぎ練習メニューの基本!浮き身とキックの土台作り
背泳ぎにおいて、最も重要なのは腕の回し方でも呼吸でもなく、「水面に対して水平な姿勢を保つこと」です。
多くのスイマーが「もっと強く蹴らなきゃ」「もっと速く腕を回さなきゃ」と焦りますが、姿勢が崩れていては、それらはすべてブレーキになってしまいます。
水の中では、わずかな体の傾きが大きな抵抗を生みます。特に背泳ぎは顔が上を向いているため、自分の姿勢を視覚的に確認しづらいという難点があります。
だからこそ、練習メニューの最初には必ず「姿勢の再確認」を組み込むべきです。土台がガタガタのまま家を建てることはできません。
まずは、自分の体がどのように浮いているのか、どこに力が入っているのかを細かく分析する練習からスタートしましょう。
これから紹介するドリルを丁寧に行うことで、腰が沈まない「フラットな姿勢」を脳と体に叩き込むことができます。
沈まない姿勢を作る「プカプカ浮き身」練習
背泳ぎで最初にぶつかる壁は「足が沈む」という現象です。これは肺にある空気(浮力)と、重い下半身のバランスが取れていないために起こります。
私は初心者の頃、鼻に水が入るのが怖くて顎を思い切り引いてしまい、その結果としてお尻が落ち、まるで「立ち泳ぎ」のような状態で練習していました。
これではいくらキックを打っても進みません。まずは、リラックスして水に身を任せる感覚を養うことが最優先です。
耳までしっかり水に浸け、視線は真上(天井)の1点を見つめます。おへそを水面に突き出すようなイメージで、背中のアーチを軽く意識しましょう。これが全ての基本となります。
- プールサイドを掴み、仰向けの状態で体を伸ばす。
- ゆっくりと手を離し、耳を水に沈めたまま浮浮力を感じる。
- お腹に力を入れ、足先まで水面に浮くように意識する(5秒キープ)。
- 鼻から少しずつ空気を出し続け、鼻に水が入るのを防ぐ練習を併用する。
この練習を繰り返すと、肺に空気が溜まっている時と吐き出した時の「浮力の変化」がわかるようになります。「浮力は肺にある」という事実を体感してください。
推進力を最大化する「しなり」キック
姿勢が安定したら、次は推進力の要であるキックです。背泳ぎのキックは「下から上へ」蹴り上げる動作がメインですが、ここでのミスは「膝を曲げすぎること」にあります。
自転車をこぐような動きになってしまうと、膝が水面から飛び出し、大きな水しぶきが上がるだけで全く前に進みません。
理想は、ムチのように足全体がしなるキックです。足の甲で水を捉え、後方に押し出す感覚を身につけましょう。
| キックの種類 | 意識するポイント | 得られる効果 |
|---|---|---|
| 壁蹴りキック | 膝を伸ばし、足の親指が触れ合う距離を保つ | 足首の柔軟性と水の抵抗軽減 |
| 板なしキック | 腕を頭の上で組み、姿勢を維持しながら打つ | 体幹の安定とストレートラインの維持 |
| 垂直キック | 深い場所で垂直に立ち、足の甲で水を蹴る | 水を捉える足の感覚(キャッチ)の向上 |
キックを打つ際は、「親指が擦れ合うくらい内股気味」に打つと、足の甲の面積を最大限に活かして水を蹴ることができます。
キックのスタミナを養うインターバル
基礎が固まったら、次は実戦的なスタミナ強化です。背泳ぎのキックは、4泳法の中で最も脚の筋肉を酷使し、酸素消費量も多いと言われています。
私も現役時代、練習の後半にキックが打てなくなり、腰が沈んで失速する苦い経験を何度もしました。
これを防ぐためには、高い負荷の中でもフォームを崩さない忍耐力を養うインターバルトレーニングが欠かせません。
- 25m × 8本(45秒サークル):常に一定のピッチで蹴り続ける。
- 50m × 4本(1分30秒サークル):後半の25mでピッチを上げる。
- ハード&イージー:25mを全力で蹴り、25mをゆっくり流すセットを繰り返す。
練習中は、疲れてきた時こそ「お腹を浮かせる」という基本を思い出してください。「疲れた時ほどフォームを美しく」。これが上級者への近道です。
ローテーションと腕の動作を極めるドリルメニュー
キックによる土台ができたら、いよいよ「腕の動作(ストローク)」と、背泳ぎ特有の「ローテーション」を組み合わせていきます。
背泳ぎで腕を回す際、体が板のように平らなままだと、肩を痛めるだけでなく、深い位置の水を捉えることができません。
体幹を軸にして、左右に45度ずつ傾ける「ローテーション」こそが、大きな推進力を生み出す鍵となります。
多くの人は腕だけで泳ごうとしますが、背泳ぎは「背中で泳ぐ」種目です。広背筋を使い、ダイナミックに水を掻き分ける感覚を養いましょう。
腕を回すタイミングと、体が傾くタイミングがピタリと一致した時、あなたは別次元の加速を実感することになるでしょう。
ここでは、その感覚を養うための具体的なドリル練習を深掘りしていきます。力任せではない、効率的な泳ぎを手に入れましょう。
片手回しで「キャッチの深さ」を確認
両腕を同時に動かすと、どうしても意識が分散してしまいます。まずは「片手背泳ぎ」で、入水からフィニッシュまでの軌道を徹底的に確認しましょう。
私は、どうしても左手のキャッチが浅くなる癖があり、左右のバランスが崩れて真っ直ぐ泳げない時期がありました。
このドリルを繰り返すことで、「一番水が重く感じるポイント」を探り当てることができ、左右均等なパワーを発揮できるようになりました。
| 動作フェーズ | 意識すべき「コツ」 | 注意点 |
|---|---|---|
| 入水(エントリー) | 小指から、肩の延長線上に入れる | 頭の後ろに入りすぎない |
| 水を掴む(キャッチ) | 肘を曲げ、脇の下で水を抱え込む | 腕を伸ばしたまま掻かない |
| 押し出し(プッシュ) | 太ももの横まで一気に押し切る | 途中で力を抜かない |
片方の腕は体に沿わせて動かさないようにし、もう片方の腕だけで進みます。ローテーションを使って肩を入れ替える動きを意識してください。
6ビート・ローテーションでリズムを刻む
腕の動きと足の動きを連動させるのが、この「6ビート・ローテーション」ドリルです。1ストロークの間に6回のキックを打ち込みます。
「1, 2, 3, 4, 5, 6」というリズムに合わせて、腕を回し、体を左右に倒します。これができると、泳ぎに圧倒的な安定感が生まれます。
最初はリズムが崩れて混乱するかもしれませんが、メトロノームのような正確な刻みを目指して練習しましょう。
- 右腕を前に出し、左腕を横にした状態で、6回キックを打つ。
- 「6」のタイミングで左右の腕を入れ替える。
- この時、肩をしっかりと入れ替え、顔は常に真上を向いたまま固定する。
- 入れ替えた後の姿勢で、再び6回キックを打ち、安定させる。
このドリルの肝は、「腕を入れ替える瞬間の一瞬の加速」です。ローテーションの力を借りて、一気に水を引き裂くイメージを持ちましょう。
リカバリーでの「親指抜き」を徹底する
「リカバリー」とは、水を掻き終わった腕を水面上に戻す動作のことです。ここで無駄な力が入っていると、肩が疲弊し、ストローク全体が小さくなってしまいます。
最も抵抗が少なく、スムーズに腕を上げるためのテクニックが「親指から抜き、小指から入れる」という動作です。
これを意識するだけで、肩の可動域が広がり、まるで腕が勝手に回るような感覚が得られます。細かい部分ですが、長距離を泳ぐ際には劇的な差となります。
- 親指から抜く:フィニッシュ後、手首をリラックスさせて親指から水上に。
- 最短距離を通る:腕を真上に上げ、最短ルートで耳の横へ運ぶ。
- 小指から入れる:入水直前に手のひらを外側に向け、抵抗を減らす。
- 脱力:空中にある間の腕は、完全にリラックスさせる。
「空中では休み、水中で働く」。このメリハリが、背泳ぎでバテないための極意です。指先の動き一つで、あなたの泳ぎは洗練されたものに変わります。
コンビネーションと呼吸法を最適化する実践練習
ここまでは部分的な動作にフォーカスしてきましたが、最終的にはそれらを一つの滑らかな動きに統合(コンビネーション)しなければなりません。
背泳ぎが「難しい」と感じる最大の理由は、「手足の連動」と「呼吸のタイミング」が合わなくなった瞬間に、一気にリズムが崩れるからです。
顔が水面上に出ているとはいえ、不意に水がかかったり、鼻に入ったりするとパニックになりやすいのが背泳ぎの特徴です。
実践練習では、どんな状況でも一定のリズムを刻み続けられる「精神的な余裕」と「技術的な正確さ」の両方を磨いていきます。
特に呼吸法は、泳ぎの持続時間を決める重要な要素です。自分のストロークに合わせて呼吸のパターンを固定しましょう。
ここでは、「止まらない背泳ぎ」を完成させるための、コンビネーションと呼吸のトレーニング方法を伝授します。
鼻に水が入らない「パ・プ・呼吸法」
背泳ぎで鼻に水が入って痛い思いをすると、どうしても腰が引けて姿勢が崩れます。私はこれで何度も練習を中断しそうになりました。
解決策は、呼吸を「止める」のではなく、「常に鼻から微量に吐き出し続ける」ことにあります。これができると、恐怖心が消えます。
特に入水の瞬間や、水しぶきが上がりやすいピッチを上げた泳ぎでは、この呼吸法があなたの命綱となります。
- 右腕が上がる時に「パッ」と口で素早く息を吸う。
- 左腕が回る間、鼻から「プー」と細く長く息を吐き続ける。
- このリズムをメトロノームのように一定に保つ練習をする。
- 鼻から吐く力は、鼻歌を歌う程度の弱さで十分です。
「鼻は常に排気口」と考えてください。外からの水の侵入を、内側からの空気圧でブロックするイメージを持つことで、鼻の痛みから解放されます。
ピッチを安定させるストロークカウント
自分が25mを何ストローク(腕を何回回して)で泳いでいるか、把握していますか?効率的な泳ぎの指標となるのがこの数値です。
私はある時、自分のストローク数が練習の前後半で5回も増えていることに気づきました。これは、後半にフォームが崩れて空転している証拠です。
「少ないストロークで、より遠くへ進む」。これを意識するだけで、無駄な力の使い方が激減し、タイムの安定感が格段に向上します。
| レベル | 25m目標ストローク数 | 意識すべき点 |
|---|---|---|
| 初心者 | 18回〜22回 | 最後までしっかり掻き切ること |
| 中級者 | 14回〜17回 | 入水後の「伸び」を1秒意識する |
| 上級者 | 10回〜13回 | ローテーションによる大きなキャッチ |
まずは自分の「現在の平均ストローク数」を計測し、そこから「マイナス2回」を目指して練習メニューを組んでみましょう。
ターン後の「バサロキック」活用術
背泳ぎの醍醐味といえば、壁を蹴った後の水中動作「バサロキック(ドルフィンキック)」です。ここは最もスピードが出る区間です。
水面に出るまでのこの「黄金の数秒間」をどう過ごすかで、ライバルとの差は決定的なものになります。
単に潜るのではなく、「第2のエンジン」としてのバサロキックを磨くことで、後半の失速を防ぎ、一気に加速する武器を手に入れることができます。
- ストリームライン:耳の後ろで腕を固定し、指先まで真っ直ぐ伸ばす。
- 腹筋で蹴る:足先だけでパタパタせず、みぞおちから下を動かすイメージ。
- 上向きの意識:浮上する際、急激に角度をつけず、斜め上に滑らかに出る。
- 浮上直後の1掻き:水面に顔が出る直前に最初のストロークを開始する。
バサロキックは「お腹の伸び縮み」で打つのがコツです。練習の各セットで、必ず5m〜10mは潜る習慣をつけましょう。これが勝敗を分けます。
目的別!背泳ぎ最強トレーニングプログラム案
泳ぎの基本動作をドリルで確認した後は、それらを実際の「練習メニュー」として組み立て、泳ぎ込む段階に入ります。
ただ漫然と距離を泳ぐだけでは、体は疲れますが技術の向上やタイム短縮には繋がりません。目的意識が欠如した練習は、悪い癖を固めてしまうリスクすらあります。
大切なのは、今の自分のレベルと目標に合わせた「適切な負荷」と「意識配分」を明確にすることです。
初心者であれば「完泳」を、中級者であれば「スピードの持続」を、上級者であれば「限界の打破」をテーマに掲げるべきです。
各レベルにおいて、どのドリルをどのタイミングで入れ、どの程度の強度で泳ぐべきか、その黄金比率を導き出しました。
ここでは、私が多くのスイマーを指導し、自らも実践してきた中で最も効果が高かった「最強のトレーニングプログラム」をレベル別に公開します。
初心者向け:完泳を目指す20分メニュー
初心者がまず目指すべきは、25mや50mを「途中で止まらずに、楽に泳ぎ切ること」です。この段階で最も必要なのは、スタミナではなく「水との調和」です。
私が水泳を始めたばかりの頃、25mの半分も行かないうちに息が上がり、鼻に水が入ってパニックになっていました。それは「水に抗おう」として全身に力が入りすぎていたからです。
「パ・プ・呼吸」を意識し、浮力を最大限に利用するメニューを組むことで、驚くほどあっけなく完泳の壁を突破できた日の感動は今でも忘れません。
| 項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ウォーミングアップ | けのび & 浮き身(5分) | 水に浮く感覚の確認 |
| 基本ドリル | 板なしキック 25m × 4本 | 腰を浮かせる姿勢の維持 |
| 呼吸トレーニング | 片手背泳ぎ 25m × 2本 | 呼吸のリズムと鼻抜き |
| メイン練習 | スイム(完泳意識) 25m × 4本 | 止まらずにゆっくり泳ぐ |
まずはこのメニューを週に2〜3回、丁寧にこなしてみてください。「頑張って泳ぐ」のをやめた瞬間、背泳ぎは驚くほどスムーズになります。
中級者向け:50mのタイムを縮める強化メニュー
50mを完泳できるようになった中級者の次の課題は、「後半の失速を防ぐこと」と「ピッチを上げること」の両立です。
私は1分を切るタイムで停滞していた時期、いくら腕を速く回しても空回りし、逆にタイムが落ちるというスランプに陥りました。
原因は、ピッチを上げようとしてローテーションが疎かになり、キャッチが浅くなっていたことでした。この問題を解決したのは、「出力の切り替え」を意識したセット練習でした。
- ドリル:6ビート・ローテーション 25m × 6本
肩の入れ替えを意識し、1ストロークの重みを確認する。 - スピード:25m × 4本(全力)
15秒程度の休憩を挟み、フォームを崩さずに最大速度を出す。 - メイン:50m × 4本(インターバル)
1分15秒サイクルで、後半25mのタイムを前半+2秒以内に抑える。 - ダウン:50m ゆっくり
大きなフォームで、筋肉の緊張をほぐしながら泳ぐ。
中級者にとって最も重要なのは、「速く泳ぎながらも、フォームを制御下に置く」という感覚です。これが50mを快走するための鍵となります。
上級者向け:100m・200m持久力向上セット
競技志向の上級者にとって、背泳ぎの100mや200mは「乳酸との戦い」です。後半、腕が上がらなくなる極限状態で、いかに高いボディポジションを維持できるかが勝負を分けます。
現役時代の合宿では、意識が朦朧とする中での「200m × 10本」というメニューが定番でした。そこで学んだのは、根性ではなく「省エネかつ高出力な泳ぎの自動化」の重要性です。
どんなに疲れていても、指先が最短距離を通り、キャッチで確実に水を捉える。その「無意識の精度」を高めるための、高負荷プログラムを提案します。
- バサロ強化:壁蹴りからのバサロキックのみで15m × 8本(潜水距離を徹底維持)。
- ディセンドセット:100m × 4本を、1本ごとにタイムを上げていく(ラストはレースペース)。
- 高密度インターバル:50m × 8本(45秒〜50秒サイクル)で、乳酸耐性を高める。
- ストローク制限:あえて少ないストローク数でタイムを狙う、効率性重視の50m。
上級者の練習は、常に「レースのラスト5メートル」を想定して行われるべきです。苦しい局面でこそ、あえて広背筋をダイナミックに使う意識を持ってください。
背泳ぎを加速させる陸上トレーニングとストレッチ
背泳ぎの上達は、プールの中だけで完結するものではありません。実は、水中でのパフォーマンスの半分以上は「陸上での準備」によって決まると言っても過言ではありません。
特に関節の可動域が制限されていたり、体幹の支持力が弱かったりすると、どれだけドリルを繰り返しても理想のフォームを再現することは不可能です。
背泳ぎは4泳法の中で唯一「背中側」を大きく動かすため、現代人に多い猫背や巻き肩の状態では、物理的に腕が理想の軌道を通らないのです。
私は現役時代、肩の柔軟性が低く、入水のたびに体が左右に蛇行してしまう癖に悩まされていました。これを解決したのは、毎晩の地道なストレッチと体幹トレーニングでした。
水に入る前に「動ける体」を作っておくことで、水の中での感覚は劇的にクリアになります。技術を支えるための「肉体という器」を整えていきましょう。
ここでは、背泳ぎ特有の動きをサポートし、怪我を防ぎながらスピードアップを実現するための陸上アプローチを解説します。
肩甲骨の可動域を広げる「猫背解消」ストレッチ
背泳ぎのリカバリー(腕を戻す動作)をスムーズにするためには、肩甲骨が自由に、かつ滑らかに動く必要があります。ここが固いと、無理に腕を回そうとして肩を痛める原因になります。
特にデスクワークやスマホの使用で肩甲骨が外側に開きっぱなしになっている人は注意が必要です。入水位置が頭の後ろに食い込み、抵抗を増やしてしまいます。
私がストレッチを徹底し始めてから、入水時の「肩のつまり」が消え、一掻きで進む距離が20cm以上伸びたことには本当に驚きました。
- 両手を後ろで組み、胸を大きく張りながら肩甲骨を中央に寄せる(20秒キープ)。
- 壁の横に立ち、片方の肘を90度に曲げて壁に当て、体を反対側に捻って胸筋を伸ばす。
- 「天使の羽」を作るように、腕を頭の上からゆっくりと、肘を脇腹に引き寄せる動作を10回繰り返す。
- フォームローラーを背中の下に置き、胸椎(背中の真ん中)の伸展性を高める。
これらのストレッチは、お風呂上がりなどの体が温まっている時に行うのが最も効果的です。「しなやかな肩まわり」こそが、美しい背泳ぎのガソリンとなります。
体幹を安定させるプランクとバックエクステンション
水面でフラットな姿勢を維持するためには、腹圧を高めて腰の反りを防ぐ「体幹」の力が不可欠です。背泳ぎで腰が沈む原因の多くは、この筋力不足にあります。
特にローテーションを行う際、体幹がグラグラしていると力が外に逃げてしまい、せっかくのキックの推進力が伝わりません。
「お腹に薄い板が入っているような感覚」を陸上で作っておくことで、水中で「1本の軸」として泳げるようになり、蛇行が一切なくなります。
- フロントプランク:頭からかかとまでを一直線に保ち、1分間キープ。
- サイドプランク:横向きになり、腰が落ちないように支える(各45秒)。
- バックエクステンション:うつ伏せで対角の手足を上げ、背面の筋肉を刺激する。
- ドローイン:仰向けで息を吐ききり、お腹を限界まで凹ませた状態を維持する練習。
筋トレといっても、ボディビルダーのような筋肉は必要ありません。「自分の姿勢をコントロールするための微細な筋力」を養うことが、背泳ぎの安定感に直結します。
入水前のルーティンで集中力を高める
最後に、メンタルと感覚の統合です。プールのサイドに立った瞬間、あなたの頭の中にはどのようなイメージが広がっているでしょうか?
「今日は調子が悪そうだな」「水が冷たいな」といった雑念は、体の動きを硬くさせます。私はレース前やハードな練習の前、必ず特定のルーティンを行っていました。
自分の最高の泳ぎを脳内で再生し、体にそのリズムを覚え込ませることで、水に入った瞬間に「自動操縦」で理想のフォームが引き出されるようになります。
深呼吸を3回行い、肺の浮力を意識します。その後、その場で軽くジャンプして全身の脱力を確認。最後に、理想のストロークを腕で2〜3回シミュレーション(シャドースイム)してから入水してください。この30秒が、練習の質を劇的に変えます。
準備が整いました。あとは、自信を持って水に飛び込むだけです。心・技・体が揃った時、背泳ぎはもはや運動ではなく、水との対話に変わります。
背泳ぎが劇的に上達する練習の考え方とまとめ
ここまで、具体的なドリルやメニュー、陸上でのトレーニングについて詳しく解説してきました。
しかし、最後に最も大切なことをお伝えしなければなりません。それは、どんなに優れた練習メニューよりも、「自分の泳ぎを客観的に観察し、修正し続ける思考」が上達を左右するということです。
背泳ぎは他の泳法と違い、進行方向が見えず、自分のフォームを視覚的に捉えることが極めて困難な種目です。
だからこそ、ただ距離を泳ぐのではなく、自分の感覚と実際の動きの「ズレ」をいかに埋めていくかが勝負の分かれ目となります。
私が見てきた中で、短期間で爆発的にタイムを伸ばすスイマーに共通しているのは、練習後の振り返りが非常に緻密であるという点です。
ここでは、あなたの練習効率を最大化し、「努力を結果に直結させる」ための思考法を整理して締めくくります。
練習日誌で「感覚」を言語化する
練習で得た「今日は水が重く感じた」「腰がいつもより浮いていた」という微細な感覚は、時間が経つとすぐに消えてしまいます。
私は現役時代、どんなに疲れていても練習後に3分間だけノートを開き、その日の「当たりの感覚」を言葉に残すようにしていました。
この積み重ねが、スランプに陥った時の「自分だけの攻略本」となり、迷いなく練習に打ち込むための羅針盤となったのです。
- 今日のベスト感覚:どの瞬間に体が一番進んだか?(例:入水後の伸び)
- 修正した課題:意識的に変えたポイント(例:右肩のローテーションを深くした)
- 明日の目標:次の練習で一番に意識すること(例:鼻呼吸のリズムを崩さない)
言葉にすることで、脳はより強くその動作を記憶します。「なんとなく」の練習を卒業することが、上級者への第一歩です。
動画撮影で見つける自分の「現在地」
「自分では真っ直ぐ泳いでいるつもりなのに、コースロープにぶつかる」というのは、背泳ぎあるあるです。
これは、脳内イメージと実際の骨格の動きが乖離している証拠です。このズレを解消する最も手っ取り早い方法は、動画撮影による視覚的なフィードバックです。
スマホ1台あれば、自分の泳ぎを客観視し、「理想と現実のギャップ」を冷徹に分析することができます。これが上達のスピードを数倍に加速させます。
| チェック項目 | 理想の状態 | よくあるNG例 |
|---|---|---|
| 頭の位置 | 水面に固定され、左右に揺れない | ストロークに合わせて頭が動く |
| ボディポジション | 胸から足先まで一直線 | 腰が「く」の字に曲がっている |
| フィニッシュ | 太ももの横まで水を押し切っている | 途中で腕が横に逃げている |
動画を見た瞬間に「あ、ここがダメだったんだ!」と気づくことができれば、次の1往復の質が劇的に変わります。
楽しみながら継続するためのモチベーション管理
背泳ぎは地味な練習の積み重ねです。鼻に水が入ったり、思うように進まなかったりする日々が続くと、心が折れそうになることもあるでしょう。
しかし、水泳は生涯スポーツです。焦って短期的な結果だけを求めるのではなく、「水の抵抗が減った」という小さな変化を喜べる感性を持ってください。
私が長く泳ぎ続けてこられたのは、タイムだけでなく、「今日の入水はこれまでで一番静かだった」といった職人のようなこだわりを楽しめたからです。
- 小さな成功体験を数える(25m完泳、ストローク減など)。
- お気に入りの水着やゴーグルを使い、テンションを上げる。
- 同じ目標を持つ練習仲間を作り、お互いのフォームを褒め合う。
- 「泳げない日」があっても自分を責めず、リフレッシュと捉える。
心に余裕がある時、筋肉は最も効率的に動きます。「楽しんでいる人」こそが、水の中では最強なのです。リラックスして、水との対話を楽しんでください。
背泳ぎをマスターするということは、水面という無限の広がりを自分のステージにすることです。
天井を見上げながら、水の浮力に身を任せ、力強いキックで加速する感覚は、他の何物にも代えがたい快感です。
この記事で紹介した練習メニューとテクニックが、あなたの水泳人生をより豊かで輝かしいものに変えることを心から願っています。
さあ、次にプールへ行く準備はできましたか?水面を滑る新しい自分に、会いに行きましょう!
